る話だと思うの

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 それで、子供に自殺されてしまったのでは、親は堪《たま》ったものではないだろう。早苗は、自殺した青年よりも、むしろ残された両親に同情した。
「醜形コンプレックスが泡菜 食譜原因なのかどうかわからないけど、高校在学中から引きこもりがちになって、結局、中退してるわ。その後は、ずっと家でぶらぶらしてたんだけど、最近は、よく外出するようになったり、少し明るい兆しが出てきたんで、周囲もほっとしていたところだったらしいの」
 鬱病《うつびよう》などでは、治りかけが最も自殺の危険性が高い。話の筋は、それなりに通っていた。だが、早苗は、『明るい兆し』というのに、妙に引っかかるものを感じた。
「それが、昨日の晩、突然自殺したのよ。まあ、そこまでは、気の毒だけど、よくあ。だけど、その自殺の方法が、何とも異様なのよ」
 どきりとした。
「どうやったんですか?」
 自分の声が、掠《かす》れているのを自覚する。
「深夜、工場に忍び込んで、劇薬の溶液に顔を浸けて死んだのよ」
 美智子は、立ち上がって窓際へ泡菜 食譜行き、外を眺めた。
「金属メッキなんかに使う、重クロム酸ナトリウムっていう薬でね。猛烈な酸化作用があるらしいの。もちろん、自殺した彼は、よく知っていたはずよ。工場には、水溶液をポリ容器に入れて保管してあったんだけど、それを大型の金盥《かなだらい》にあけて、顔を浸したということらしいわ。自殺の方法としてはあまりにも異常なことから、警察は一時、他殺の線も疑ったらしいんだけど、現場は一種の密室でね。自殺であることだけは間違いないということだったわ」
「でも……それは、すごい苦痛を伴うんじゃないですか?」
「そのはずよ。死因は、顔の組織を広範囲に損傷したことによる、火傷に類似した外傷性ショックなんだけどね。彼の顔は、皮膚だけでなく、結合組織や筋肉の一部まで、どろどろに溶けていたらしいわ」
「とても、信じられません」
 早苗は、鳥肌が立つような気分に襲われていた。
「奇妙なことは、まだあるのよ。彼は、目だけを保護しようとしていたかのように、競泳用のゴーグルをつけていた形跡があるの。文字どおりの形跡ね……顔に、溶けたゴムの跡が黒く付いていたんだから。すぐにゴムとプラスチックが冒されたために外したら泡菜 食譜しくて、溶けかかったゴーグルは、足下に放り出してあったそうよ」
「何のために、そんなことをしたんでしょう?」
「それだけなら意味がわからないでしょうけど、そばには鏡もあったのよ」
「鏡?」